「主権を放棄した砂川判決は無効だ」と断言した小林節教授
厚木騒音訴訟で東京高裁が一審判決と同様に、自衛隊機の夜間飛行差
し止め判決を下した事は確かに注目すべきだ。
しかし防衛省は上告するだろう。
そして最高裁は一審、二審の判決を覆す。
それよりも、なによりも、この東京高裁の判決そのものが、米軍機の
差し止め請求を一審同様、司法の権限が及ばないとして、却下してい
る。
米国に対する司法の主権放棄である。
そして、その原点は、1959年の田中耕太郎最高裁が下した砂川判
決にある。
米国の極秘公電の公開で、この驚くべき対米従属性が明らかになっ
た。
そして、この米国極秘電報の発見に基づいて、昨年6月に砂川判決の
再審請求が土屋源太郎さんら元被告から提訴されている。
ところが、その砂川判決が、安保法制案起案の責任者である高村自民
党副総裁によって集団的自衛権行使容認合憲の根拠とされ、それを安倍
首相も国会で何度も繰り返している。
これほどの矛盾はない。
しかし、学者も、国会議員も、メディアも、この砂川判決の無効性、
違憲性を、正面から指摘する者はただの一人もいない。
何を恐れているのだろうか。
そう思っていたら、砂川判決は無効だと正面から切り捨てた人物をは
じめて見つけた。
月刊日本という右翼雑誌がある。
その月刊日本の最新号(8月号)は、日本は米国の属国のままでいい
のか、の特集合である。
その特集号の様々な記事の中に、あの小林節慶応大学名誉教授のイン
タビュー記事を偶然見つけた私は驚いた。
そのインタビューの中で、小林教授は砂川判決が集団的自衛権を認め
ているとする安倍政権の主張を「真っ赤なウソ」だと次のように断じて
いるのだ。
すなわち、そもそも裁判は事件になった事実しか判断しないものだ、
砂川事件では日本が駐留米軍を受け入れることの合憲性が問題になった
のであって、他国防衛の為の集団的自衛権の合憲性は問題になっておら
ず、何の判断もなされていないと。
ここまでは小林教授ならずとも、すべての憲法学者が等しく認めてい
るところだ。
私が注目したのは、その後に続く小林教授の次の言葉である。
「・・・三権の長がアメリカの大使や公使に面会して、事前に判決を
約束するなど言語道断です。この時、日本は事実上主権を投げ捨て、独
立を放棄したのです。最高裁判決は司法の独立を奪われた判決であるた
め、司法権の名に値しません。最高裁判決自体そのものが『一見極めて
明白に違憲無効』ですよ。砂川判決の元被告人たちが再審請求を求めて
いますが、至極当然の事です。安倍政権は『独立国家として集団的自衛
権を認めるのだ』と意気込んでいまが、そのために独立国家の主権を侵
害した最高裁判決に頼るのは自己矛盾以外の何物でもありません・・
・」
この言葉こそ私が聞きたかった言葉だ。
国会でこの小林教授の言葉を安倍首相に投げつける政治家が出て来な
ければおかしい。
このような勇気ある言葉を発した学者は、私の見る限りでは日本広し
といえども小林教授が初めてだ。
何としてでも小林教授には護憲政党をひとつにまとめて、来るべき選
挙で安倍自民党政権を倒してもらいたい。
護憲政党をひとつにできなければ、その時こそ新党憲法9条に賛同い
ただいて、願わくば党首になって選挙に臨んでもらいたい。
それが実現できれば新党憲法9条は現実のものとなり、日本の政治を
大きく変えるだろう。
日本の夜明けが来る。
私は近く小林教授を訪れて直訴するつもりである。
その結果はこのメルマガで報告する事をお約束する(了)
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